第44回クリエイティブカフェ
ラヴクラフト&クトゥルー神話を語るPart3 ~「インスマスの影」を読み解く~
ラヴクラフト&クトゥルー神話を語るPart3
~「インスマスの影」を読み解く~ トークイベント開催!

現代に続くホラー・SFの期限 その魅力とは?
「クトゥルー神話」の生みの親であり、現代のホラーやSF、ファンタジー作品に絶大な影響を与えた怪奇作家H.P.ラヴクラフト。彼の紡いだ神秘的世界観は、文学はもちろん、映画、ゲーム、コミックなど、現代も多くのメディアに影響を与えています。
高校生の頃からラヴクラフト作品を愛読している山形市長・佐藤孝弘が、ラヴクラフトの専門家等をゲストに迎え、その魅力を語り合う大好評トークイベントの第3弾。
今回はラヴクラフト作品の代表作のひとつ「インスマスの影」をテーマに、日本ではじめてラヴクラフト作品を映像化した「インスマスを覆う影」に主演した佐野史郎氏をゲストに迎え開催します。
開催概要
- 日時 令和8年1月11日(日) 15:30〜17:30
- 場所 山形県生涯学習センター 遊学館 ホール
(山形市緑町1丁目2−36)- 申込 必要
山形市ホームページよりお申込みください。
- 定員 申込先着300名
- 料金 参加無料
- 問合せ 山形市文化創造都市課 電話023-641-1212(内線799)
登壇者
佐野史郎(俳優)
1955年3月4日生まれ。魚座、未年、血液型B型。
島根県松江市出身。山梨県山梨市で生まれ、2ヶ月で東京、世田谷区代田橋に2歳まで暮らす。その後練馬区桜台へ移り、1962年、小学1年生3学期に父の実家の島根県松江市に転校。小学4年生の時に江戸川乱歩の少年探偵団シリーズ「電人M」を読み乱歩の虜になる。6年生の時に創元推理文庫、ブラム・ストーカー作「吸血鬼ドラキュラ」を読み、幻想怪奇文学を読み出す。松江南高校在学中3学期に雑誌「幻想と怪奇」でラヴクラフトを知る。創元推理文庫の「怪奇小説傑作集3」の「ダンウイッチの怪」がラヴクラフト作だったことを確認。
1974年、高校卒業後、上京。現代思潮社「美學校」にてシュルレアリストの中村宏に油彩画を学ぶ。この年、唐十郎の状況劇場公演「風の又三郎」を観て衝撃を受ける。神保町の古本屋でラヴクラフト作品の載った古書を探し歩く。
同時期、出口典雄主宰、劇団シェイクスピア・シアターの旗揚げに向け、役者の道を歩み始める。シェイクスピアの神秘主義的な世界や幽霊譚に陶酔する。
1975年5月、渋谷の小劇場ジァン・ジァンでシェイクスピア作「十二夜」で初舞台を踏む。創土社より荒俣宏訳の「ラヴクラフト全集」刊行が始まるも2巻で途絶える。ランドルフ・カーターものに惹かれる。
1979年、シェイクスピア作品22本に出演後、同劇団退団。
1980年、状況劇場入団。「鉛の心臓」にて大役を任せられる。
1982年、国書刊行会より「真・ク・リトル・リトル神話体系」刊行開始、入手。
1984年、状況劇場退団。国書刊行会より「ラヴクラフト全集」刊行開始、入手。その後も、ラヴクラフト、クトゥルー作品を蒐集。
1986年、林海象監督「夢みるように眠りたい」で主演映画デビュー。
1992年、TBSドラマ「ずっとあなたが好きだった」冬彦役が社会現象となる。同年、TBSにてラヴクラフト原作のドラマ「インスマスを覆う影」に主演。
1994年、学研から出版された「クトゥルー怪異録」に短編小説「曇天の穴」寄稿。
2002年、創元推理文庫「神秘界」にクトゥルー小説「怪奇俳優の手帳」寄稿。英訳され、海外でも刊行される。
「乱歩〜妖しき女たち〜」など出演ドラマ多数。
映画代表作に黒木和雄監督「明日」、金子修介監督「毎日が夏休み」、石井輝男監督「ゲンセンカン主人」、A・ソクーロフ監督「太陽」、近作に空音央監督「HAPPYENND」などがある。
「ゴジラ2000」の神父役ではクトゥルー召喚の呪文を唱える。
俳優業の他、執筆、写真、音楽などの表現も続けている。
2007年より、「小泉八雲 朗読のしらべ」を小泉八雲の曾孫にして民俗学者の小泉凡氏の監修のもと、松江出身で松江南高校の同級生、ギタリストの山本恭司と共に続けている。佐野は朗読、脚本を担当。
なお、恒文社版、小泉八雲全集を訳している平井呈一は、「吸血鬼ドラキュラ」などの幻想怪奇文学の翻訳で知られるが、ラヴクラフト作「アウトサイダー」など、戦後、江戸川乱歩監修の探偵小説雑誌「宝石」などと共に、いち早くラヴクラフトを紹介している。
2025年、小泉八雲の妻、セツを主人公のモデルとした、NHK朝の連続テレビ小説「ばけばけ」にて、島根県知事役を務める。
いちばん好きなラヴクラフト作品は「彼」
東 雅夫(文芸評論家)
1958年、神奈川県横須賀市生まれ。アンソロジスト、文芸評論家、元・怪談専門誌「幽」編集顧問。ふるさと怪談トークライブ代表。早稲田大学文学部日本文学科卒。
1982年に研究批評誌「幻想文学」を創刊、2003年の終刊まで21年間にわたり編集長を務めた。現在は、200冊近い各種アンソロジーの企画・編纂をはじめ、幻想文学・ホラーを中心とする批評、怪談研究などの分野で著述・講演活動を展開中。
2011年、著書『遠野物語と怪談の時代』(角川選書)で、第64回日本推理作家協会賞を受賞した。
評論家として「ホラー・ジャパネスク」や「800字小説」「怪談文芸」などを提唱。NHKのテレビ番組「妖しき文豪怪談」「日本怪談百物語」や、ラジオ番組「あやかしラヂオ」等の企画監修・協力にも携わる。また近年は、舞踏家や能楽師らとのコラボレーションによる朗読公演にも取り組んでいる。
著書に『文学の極意は怪談である』(筑摩書房)『なぜ怪談は百年ごとに流行るのか』(学研新書)『百物語の怪談史』(角川ソフィア文庫)ほか、編纂書に『おばけずき 鏡花怪異小品集』(平凡社ライブラリー)や『文豪怪談傑作選』(ちくま文庫)『伝奇ノ匣』(学研M文庫)『てのひら怪談』(ポプラ文庫)の各シリーズほか、監修書に『怪談えほん』『妖怪えほん』(共に岩崎書店)ほかがある。
著者公式サイト「幻妖ブックブログ」http://blog.livedoor.jp/genyoblog-higashi/
『幽』ツイッター http://twitter.com/kwaidan_yoo
いちばん好きなラヴクラフト作品は「アウトサイダー」
佐藤孝弘(山形市長)
1975年北海道生まれ。
2000年 東京大学法学部卒業後、通商産業省(現・経済産業省)入省。2003年 退職し、おにぎり専門店を起業。
その後、日本経営合理化協会や公益財産法人東京財団研究員を経て、2011年 山形市長選挙に立候補し、次点となる。以降、山形市において政治活動、地域活動を展開。
2015年山形市長に就任し、現在3期目である。
高校生の頃よりH.P.ラヴクラフトの作品を愛読している。
いちばん好きなラヴクラフト作品は「インスマスの影」
ファシリテーター
黒木あるじ(怪談作家・小説家)
1976年、青森県生まれ。東北芸術工科大学卒。
2009年に第7回ビーケーワン怪談大賞で佳作、第1回『幽』怪談実話コンテストで「ブンまわし賞」を受賞。
2010年『怪談実話 震(ふるえ)』(竹書房)でデビュー。現在まで単著共著あわせて100冊以上を刊行。
著作に『山形怪談』(竹書房怪談文庫)、『無惨百物語』シリーズ(KADOKAWA)、『掃除屋(クリーナー)プロレス始末伝』(集英社)など。
2024年、『春のたましい 神祓いの記』(光文社)で第七回細谷正允賞を受賞。
河北新報社で2025年4月から小説「おしら鬼秘譚」を連載のほか、山形のタウン誌ZERO☆23でもコラム「怪の細道」を連載中。
いちばん好きなラヴクラフト作品は「狂気の山脈にて」
H.P.ラヴクラフトとは
ハワード・フィリップ・ラヴクラフト Howard Phillips Lovecraft
小説家 1890年、アメリカ合衆国ロードアイランド州プロビデンス生まれ。
幼い頃からグリム童話や千夜一夜物語、ギリシア・ローマ神話などに親しみ、自らも詩や物語の創作を行っていた。また科学や天文学に興味を持っていたが、病弱のために、学校へ通う事が難しくなり、その後も不遇の生涯を送る。
病弱のために生涯会社勤めなどをすることはなかったが、作家仲間との交流を盛んに行っていた。文書添削で生計を立てながら、「ウィアード・テールズ」などのパルプ雑誌(大衆娯楽雑誌)に寄稿し、多くの作品を発表したが、単行本として刊行されたのは『インスマスの影』1冊のみであった。
ラヴクラフトは自らの作品世界を「宇宙的恐怖(コズミック・ホラー)」と呼び、その死後、作家オーガスト・ダーレスら友人により「クトゥルー神話」として体系化され、現代のホラー・SF作品にも大きく影響を与えている。
彼の独特の世界観は世界中の読者を魅了し、その愛好家は「ラヴクラフティアン」と呼ばれる。
日本においては、江戸川乱歩や水木しげるにも影響を与えている。
🗝 KEY WORD 🗝
クトゥルー神話 Cthulhu,Kthulhut
ラヴクラフト作品に共通して登場する世界観や設定を元に、ダーレスをはじめとするラヴクラフトの友人により体系化され作り上げられた架空の神話世界。
宇宙からきたタコやイカに似た頭部をもつ軟体動物を巨大化したような異形の生き物、クトゥルー(クトゥルフとも)をはじめとする、異形の神々が登場し、それらの宇宙的恐怖のまえでは人類は無力であるという宇宙的恐怖の概念をその根源としている。
その独特の世界観や設定は、現代でも文学はもちろん、映画やアニメ、漫画、ゲームなど多くのメディアでホラーやSF作品のインスピレーションの根源となっている。
名称は、ラヴクラフト作品「クトゥルーの呼び声」に基づき名付けられた。
「クトゥルー」は人間には発音不能な音であるとされ、アメリカでも発音は決まっておらず、日本においてもクトゥルフ神話、真ク・リトル・リトル神話などとも表記される。
インスマスの影/The Shadow Over Innsmouth 初版発行:1936年4月
「ダニッチの怪」(1928年)、「クトゥルフの呼び声」(1928年)と並ぶラヴクラフトの代表作のひとつ。
「インスマスを覆う影」、「インスマウスの影」とも。
<あらすじ>
主人公が港町インスマスに赴くと、そこに住む異形の不気味な魚類のような容姿の人々が住んでいた。彼らの不気味な様子から恐怖を感じていた主人公であったが、その後に彼らの恐るべき秘密を知ってしまう。
クリエイティブカフェ「ラヴクラフト&クトゥルー神話を語る」シリーズ
「ラヴクラフト&クトゥルー神話を語る」シリーズは「クリエイティブカフェ」で今回が第3弾!
山形市は2017 年、文化や創造性の力で持続的な発展が可能なまちを目指す世界中の都市からなるネットワーク「ユネスコ創造都市ネットワーク」に映画分野で加盟しました。この加盟を機に、映画分野だけでなく幅広い文化的資産を継承・活用しながら持続的に発展していく都市ブランド「文化創造都市」の実現を目指しています。その取り組みの一つとして実施しているのが今回で44 回目を迎える「クリエイティブカフェ」です。市民の皆さんに参加してもらい、文化に関する1つのテーマを取り上げ、ともに考えることにより、文化がもたらす可能性を広げ皆さんの創造性を育みたいという思いのもと、トークショー、映画上映会、ワークショップなどの様々なイベントを開催しています。「ラヴクラフト&クトゥルー神話を語る」はこれまで「クリエイティブカフェ」内で2 回実施してきました。文学界だけでなく、現代のアニメやゲームの世界にも大きな影響を与え続けているラヴクラフト作品の世界の深堀りはもちろん、一つの文化をこよなく愛する人たちがその魅力を熱く語る姿と触れ合う機会を得るということも、聴き手である市民の皆さんが新たな興味を持つきっかけにつながるのではと思っています。過去2 回実施したシリーズは山形市創造都市推進協議会公式YouTube チャンネルでアーカイブ配信していますので、ぜひこちらもご覧ください。
【クリエイティブカフェとは?】
山形市創造都市推進協議会では、クリエイティブカフェとして、山形市の多種多様な文化・芸術に関するトークイベントやワークショップ、映画上映会を開催し、市民の文化への興味・関心と創造性を育むことを目指しています。
これまでのクリエイティブカフェの様子はこちらをご覧ください。
主催:山形市 山形市創造都市推進協議会 「やまがた秋・冬の芸術祭」実行委員会

お問合せ:山形市創造都市推進協議会(山形市文化スポーツ部文化創造都市課内)電話023-641-1212 内線799
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